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はじめに:私の体験 — 作業中にフリーズするあの恐怖
先日、Photoshopで重たい合成をしているときに作業中のプレビューが数秒止まり、その間にペンの動きが反映されず作業が途切れてしまいました。納期が迫る中でのフリーズは精神的にも大きなストレスです。「快適に作業したい」「待ち時間をゼロに近づけたい」と強く思い、キャッシュの整理とGPUの最適化を徹底的に行ったところ、作業効率が大きく改善しました。本記事では同じ悩みを持つ方へ向け、実践的でそのまま使える手順を分かりやすくまとめます。
なぜ遅くなるのか(要点)
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キャッシュや一時ファイルが肥大化してディスクI/Oが遅くなる。
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GPU(グラフィックカード)の設定が最適化されておらず、ハードウェアアクセラレーションを活かせていない。
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ドライバーやアプリの設定が古い/不適切で処理がCPUに偏る。
手順:キャッシュ削除とGPU最適化(Photoshop / Illustrator / Premiere 共通)
1. 事前準備
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作業ファイルをすべて保存して閉じる。
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重要な設定(プリセット・プラグイン)をバックアップする。
2. アプリ側でのキャッシュ削除
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Photoshop
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「編集」→「環境設定」→「パフォーマンス」を開く。
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「ヒストリーとキャッシュ」セクションで「キャッシュレベル」を確認(用途に応じて増減)。
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「編集」→「消去」→「クリップボード」「ヒストリー」「キャッシュ」を順に消去します。
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Illustrator
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「編集」→「環境設定」→「プレビュー」や「パフォーマンス」を確認。
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不要なラスタライズキャッシュやリンク画像の再リンクを行い、Illustratorの一時ファイルを削除します。
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Premiere Pro
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「編集」→「環境設定」→「メディアキャッシュ」へ。
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「未使用のメディアキャッシュファイルを削除」を実行し、キャッシュの保存先がSSDか確認します。
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3. ディスクの一時ファイルを手動で削除(Windows / macOS)
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Windows:
%localappdata%\TempやC:\Users\<ユーザー名>\AppData\Local\Tempの不要ファイルを削除。 -
macOS:
/private/var/foldersやアプリのキャッシュディレクトリをSafeに削除。(念のためバックアップ推奨)
4. GPU(グラフィック)最適化
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GPUドライバーを最新に更新
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NVIDIA:GeForce Experience からドライバー更新、または公式サイトから最新版をインストール。
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AMD:Adrenalinから更新。
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Adobeアプリのハードウェアアクセラレーションを有効にする
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Photoshop:環境設定 → パフォーマンス → 「グラフィックプロセッサーを使用」にチェック。詳細設定で「設定をデフォルト」→「高度」でGPUを指定。
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Premiere:環境設定 → プレビュー → 「レンダラー」を「Mercury Playback Engine GPU Acceleration(CUDA/Metal/OpenCL)」に切替。
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OS側の設定
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Windows:グラフィック設定で高パフォーマンスをAdobeアプリに割り当てる(「設定」→「システム」→「ディスプレイ」→「グラフィック設定」)。
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macOS:外部GPU使用時はアプリに外部GPUを割り当て(対応機種のみ)。
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GPUメモリと仮想メモリの確認
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Photoshopの「メモリ使用量」を適切に設定(通常は総メモリの70〜80%を推奨)。
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仮想メモリ(ページファイル)は十分なサイズに設定する(特にPremiereで大きな素材を扱う場合)。
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5. キャッシュの配置とディスク最適化
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キャッシュは可能な限り内部SSDまたは外付けNVMe/SSDに移す(HDDは避ける)。
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Scratch Disk(スクラッチディスク)は空き容量が多い高速ドライブを指定する。
導入後に期待できる改善(具体例)
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Photoshopで300MB級のPSDを開いたときのレイヤー切替が数秒 → 瞬時に。
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Premiereでのプレビュー再生がカクつきやレンダリング遅延が激減し、編集のストレスが大幅に減少。
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フィルター適用や書き出し時のCPU負荷がGPUへオフロードされ、書き出し時間が30〜60%短縮されるケースもあります(素材や環境による)。
応用編:さらに便利にする追加テクニック
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専用外付けSSDを素材用に用意して読み書きを分散させる(OS/アプリは内部SSD、素材は外付けSSD)。
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複数GPU/高VRAMを活用(動画編集や3D系作業で効果大)。
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Photoshopのスマートオブジェクトで編集履歴を軽減、必要な時だけラスタライズ。
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定期メンテナンスの自動化:バッチやスクリプト、Windowsのタスクスケジューラで定期的にキャッシュ削除を行う。
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プロファイル管理:複数プロジェクト用に環境設定のプリセットを作り、プロジェクト規模に合わせて切り替える。
まとめ:小さな手間が大きな時間短縮に
キャッシュを整理し、GPUを正しく活用するだけで、日々のストレスが確実に減ります。特に納期が迫る現場では「待ち時間」が一番の敵です。本記事の手順を実行して、まずはキャッシュ削除とGPU設定の見直しから始めてみてください。効果を実感できれば、外付けSSDやドライバー管理など応用編へ進むとさらに快適になります。

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