SMBとFTPの違いを初心者向けに比較|ファイル共有はどちらを使う?
SMBとFTPはどちらもネットワーク経由でファイルを扱う仕組みですが、目的が違います。家庭や社内LANで共有フォルダを普段のドライブのように使うならSMB、サーバーとのファイル転送を目的にするならFTP系の仕組みが基本です。
ただし、現在は「FTPをそのままインターネットで使う」方法は安全とは言えません。FTPは通信内容や認証情報を暗号化しない構成があるため、外部ネットワークで使うならFTPSやSFTPなど暗号化された方式を選ぶ必要があります。なおSFTPは名前が似ていますが、FTPとは別のSSHベースの仕組みです。
- SMBとFTPの違いを先に一覧で整理
- SMBとは何か
- FTPとは何か
- よくある失敗例:SMBとFTPを「同じファイル共有」と考える
- 違い1:ファイルを「共有する」か「転送する」か
- 違い2:Windowsでの使いやすさ
- 違い3:同時利用やファイルロック
- 違い4:認証方法とアクセス権
- 違い5:セキュリティ
- FTPSとSFTPの違いも知っておく
- 家庭用NASならSMBがおすすめなケース
- FTP系が向くケース
- インターネット越しにNASを使いたい場合はどちらがよい?
- 速度はSMBとFTPのどちらが速い?
- 大量の小さいファイルでは違いが出やすい
- 初心者向けの選び方
- Windows 11でSMB接続を設定する基本手順
- FTP系を使う時の確認ポイント
- 再起動時の確認ポイント
- 便利になる具体例
- 応用:クラウドストレージとの使い分け
- 予防方法
- FAQ
- まとめ
SMBとFTPの違いを先に一覧で整理
- SMB:共有フォルダをネットワークドライブのように使うのが得意
- FTP:サーバーへファイルをアップロード・ダウンロードする用途が中心
- SMB:Windowsのファイル共有やNASでよく使われる
- FTP:Webサーバーへのファイル転送などで歴史的によく使われてきた
- SMB:ファイルを共有先に置いたまま開いたり更新したりしやすい
- FTP:基本的には「転送する」という考え方が分かりやすい
- SMB:家庭内LANや社内LANで使いやすい
- FTP:外部との転送にも使えるが、平文FTPをそのまま使うのは避ける
SMBとは何か
SMBはServer Message Blockの略で、Windowsのファイル共有で広く使われるプロトコルです。Windows 11で「\\PC名\共有名」のように共有フォルダを開いたり、NASをネットワークドライブとして割り当てたりする時に使われます。
SMBでは、共有先のファイルをネットワーク越しに読み取り、作成、更新できます。Windowsでは共有フォルダが通常のフォルダに近い感覚で扱えるため、初心者でも理解しやすいのが特徴です。
現在のWindowsではSMB2・SMB3が中心です。古いSMB1.0は安全性の問題があるため、Windows 11では標準でインストールされていません。
FTPとは何か
FTPはFile Transfer Protocolの略で、名前の通りファイル転送を目的としたプロトコルです。FTPクライアントからFTPサーバーへ接続し、ファイルをアップロードしたりダウンロードしたりします。
Webサイトを運営している人が、HTMLや画像をレンタルサーバーへ送る用途でFTPを使ってきた例が代表的です。
ただし、FTPそのものは古い方式で、暗号化されない構成ではユーザー名、パスワード、転送内容を盗み見られる危険があります。現在はFTPSやSFTPなど、安全性を高めた方法を使うのが基本です。
よくある失敗例:SMBとFTPを「同じファイル共有」と考える
初心者が迷いやすいのは、どちらも「別の機器にあるファイルを扱える」ため、同じものに見える点です。
たとえばNASの写真フォルダを毎日のように開き、直接編集したい場合、FTPで毎回ダウンロードして編集し、再アップロードするより、SMBで共有フォルダとして開く方が自然です。
反対に、Webサーバーへ完成したファイルを送るだけなら、SMB共有をインターネットへ公開するより、サーバーが提供しているSFTPなどの安全な転送方法を使う方が適しています。
違い1:ファイルを「共有する」か「転送する」か
SMBは共有先のファイルをその場所に置いたまま利用するイメージです。共有フォルダ内のWordファイルを開き、編集して保存すると、その共有先へ更新内容が保存されます。
FTPは、手元とサーバーの間でファイルを転送するイメージです。FTPクライアントには通常、ローカル側とサーバー側が表示され、ファイルをアップロード・ダウンロードして使います。
この違いを理解すると選びやすくなります。
違い2:Windowsでの使いやすさ
Windows 11で家庭内・社内の共有フォルダを使うなら、SMBはエクスプローラーとの相性が良いです。
Windowsキー + Eでエクスプローラーを開き、「\\NAS名\share」のように入力すれば共有へ接続できます。ネットワークドライブに割り当てれば、毎回共有名を入力する必要もありません。
FTPは専用クライアントを使うことが多く、Windowsの通常フォルダと同じ感覚では扱いにくい場合があります。
違い3:同時利用やファイルロック
SMBは複数ユーザーでファイルサーバーを使うことを想定した機能が豊富です。Windowsのアプリケーションから共有ファイルを直接開き、ファイルロックなどを使いながら利用できます。
FTPはファイル転送が中心なので、複数人が同じファイルを直接編集する共同作業には向きません。誰かが古いファイルをアップロードして上書きすると、他の人の変更を消してしまう危険があります。
複数人で同じ文書を共同編集するなら、SMBだけでなくMicrosoft 365やGoogle Workspaceなど共同編集に対応した仕組みも検討してください。
違い4:認証方法とアクセス権
SMBはWindowsアカウント、Active Directory、NASのユーザーアカウントなどと組み合わせてアクセスを制御できます。共有フォルダごとに読み取り・書き込み権限を分けることもできます。
FTPもユーザー名とパスワードで認証できますが、平文FTPでは認証情報の扱いに注意が必要です。インターネット越しで使うなら暗号化方式を確認してください。
違い5:セキュリティ
現在のSMB3には署名や暗号化などのセキュリティ機能があります。Windows 11 24H2以降ではSMB署名の要件も強化されています。
ただし、SMBだから自動的に安全という意味ではありません。SMBをインターネットへ直接公開するのは避け、家庭内LANや社内LAN、VPNなど適切に保護されたネットワークで使います。
FTPは暗号化されない構成があるため、外部ネットワークでそのまま使うのはおすすめできません。サーバーがSFTPやFTPSに対応しているなら、そちらを優先します。
FTPSとSFTPの違いも知っておく
名前が似ていますが、FTPSとSFTPは別の仕組みです。
- FTPS:FTPにTLSによる暗号化を加えた方式
- SFTP:SSHを使って安全にファイル転送する方式
「FTPソフトがSFTP対応」と書かれていても、通信方式としてはFTPではありません。サーバー側がどの方式に対応しているかを確認して設定します。
家庭用NASならSMBがおすすめなケース
次の用途ならSMBが使いやすいです。
- 家族の写真や動画をNASへ保存する
- 複数PCから共通フォルダを使う
- 文書をNAS上で直接開く
- ネットワークドライブとして常時使う
- Windowsのバックアップ先としてNASを使う
家庭内LANで使う場合でも、NASにはユーザー名とパスワードを設定し、ゲストアクセスを避ける方が安全です。
FTP系が向くケース
次のように「ファイルを送ること」が目的ならFTP系の仕組みが候補になります。
- Webサーバーへサイトのファイルをアップロードする
- サーバーからログファイルを取得する
- 決まったフォルダ間でファイルを受け渡す
- サーバー管理でSFTPが指定されている
この場合も、外部ネットワークではSFTPやFTPSなど暗号化された方式を優先してください。
インターネット越しにNASを使いたい場合はどちらがよい?
家庭のNASを外出先から使いたいからといって、ルーターでSMBのポートをそのままインターネットへ公開するのは避けてください。
メーカーの安全なリモートアクセス機能、VPN、適切に構成されたクラウド連携などを利用する方が安全です。
FTPも同様で、平文FTPを公開するのではなく、暗号化されたリモートアクセス手段を選びます。
速度はSMBとFTPのどちらが速い?
単純に「SMBは遅い」「FTPは速い」とは言えません。速度はネットワーク回線、NASやサーバーの性能、ストレージ、ファイル数、暗号化、プロトコル設定などで変わります。
SMB3にはマルチチャネル、圧縮など高性能化の仕組みもあります。家庭用NASで大容量ファイルを扱う場合は、プロトコルよりも1GbE・2.5GbEなどネットワーク速度やHDD・SSD性能がボトルネックになることがあります。
大量の小さいファイルでは違いが出やすい
数GBの動画1本を転送する場合と、数KBの小さなファイルを数万個扱う場合では負荷が違います。小さいファイルが大量にあると、ファイルごとの処理が増えて転送が遅く感じることがあります。
バックアップ用途では、単純なコピー速度だけでなく、差分バックアップ、世代管理、復元しやすさを重視してください。
初心者向けの選び方
迷ったら、次の基準で判断してください。
- 家庭・社内LANで共有フォルダとして使いたい → SMB
- Windowsエクスプローラーから直接開きたい → SMB
- NASをネットワークドライブにしたい → SMB
- Webサーバーへファイルを送る → SFTPやFTPSなどサーバー指定の方式
- 外部ネットワークで安全に転送したい → 平文FTPではなく暗号化方式
- 共同編集したい → SMBまたは共同編集対応クラウドサービスを検討
Windows 11でSMB接続を設定する基本手順
- NASとPCを同じ信頼できるLANへ接続します。
- NAS側でSMB2・SMB3を有効にします。
- NASに利用ユーザーを作成します。
- 共有フォルダへ必要な権限を設定します。
- WindowsでWindowsキー + Eを押します。
- アドレスバーへ「\\NAS名\共有名」を入力します。
- ユーザー名とパスワードを入力します。
古いNASでSMB1.0しか使えない場合は、まずファームウェア更新や買い替えを検討してください。
FTP系を使う時の確認ポイント
- サーバーがFTP、FTPS、SFTPのどれに対応しているか
- ホスト名
- ポート番号
- ユーザー名とパスワード
- 暗号化方式
- 接続先ディレクトリ
- 転送モード
設定値は自己判断せず、レンタルサーバーや社内サーバーの公式案内に従ってください。
再起動時の確認ポイント
SMBの設定を変更した場合は、NASとWindowsを再起動してから接続を確認します。FTPサーバー側の設定を変更した場合も、サービス再起動が必要な製品があります。
再起動後に「以前の接続が残っていたから使えていただけ」という状態を避けるため、新規接続できるか確認してください。
便利になる具体例
家庭では、写真や動画をNASへ集約して複数PCから使うならSMBが便利です。Webサイト運営では、サーバーへファイルを配置する時にSFTPを使う、と役割を分けると混乱しません。
用途ごとに通信方式を使い分けることで、「共有フォルダをFTPで無理に運用する」「SMBをインターネットへ直接公開する」といった危険な構成を避けられます。
応用:クラウドストレージとの使い分け
OneDrive、Google Drive、Dropboxなどのクラウドストレージは、SMBやFTPと違い、インターネット越しの同期・共有をサービス側が管理します。
社外や外出先から頻繁にファイルへアクセスする場合は、SMBを直接公開するよりクラウドストレージの方が管理しやすいことがあります。
一方、家庭内の大容量動画やバックアップを高速に扱うなら、NASのSMB共有が向く場合があります。
予防方法
- SMB1.0を常用しない
- NASはSMB2・SMB3へ更新する
- SMBをインターネットへ直接公開しない
- FTPではなくSFTP・FTPSなど暗号化方式を優先する
- 共有用ユーザーに必要最低限の権限を設定する
- 重要データは別途バックアップする
FAQ
NASではSMBとFTPのどちらを有効にすればいいですか?
家庭内LANでWindowsの共有フォルダとして使うなら、通常はSMB2・SMB3を優先します。FTP機能は必要な用途がある場合だけ有効にしてください。
FTPは危険ですか?
暗号化されない平文FTPを信頼できないネットワークで使うのは安全ではありません。外部接続ではSFTPやFTPSなど暗号化された方式を使ってください。
SFTPはFTPの安全版ですか?
用途は似ていますが、仕組みは別です。SFTPはSSHを利用するファイル転送方式です。
SMBを外出先から使ってもいいですか?
SMBのポートを直接インターネットへ公開するのは避けてください。VPNやメーカーが提供する安全なリモートアクセス、適切なクラウドサービスを検討します。
まとめ
SMBは共有フォルダを普段のドライブのように使う仕組み、FTPはサーバーとのファイル転送を行う仕組みと考えると分かりやすいです。
家庭や社内LANでWindowsとNASを使うならSMB2・SMB3が基本です。Webサーバーなどへファイルを送るなら、サーバー指定のSFTPやFTPSを使います。用途だけでなく安全性も確認し、SMB1.0や平文FTPを安易に使わないことが重要です。
